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Happy Valley Blog

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読書2015.11~12

2015年の読書メーター
読んだ本の数:155冊
読んだページ数:45375ページ
ナイス数:1043ナイス

ブラッドランド 下: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (単行本)ブラッドランド 下: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (単行本)感想
ソビエトとドイツがつるんでポーランドを侵略して大戦を始め、餓死、銃殺、移送、虐待に邁進する様は恐ろしい。殺害数を競わせて倫理的抵抗を薄れさせ、狂奔させた手口はスターリンもヒットラーも同じ。富農、知識人、少数民族、婦女子を暴行、殺戮する警察、軍隊に言葉を失う。戦後、各国で被害数を誇張し、被害者として正当化する態度は、そそのかされれば、激しい暴力に駆り立てられてしまう体質がそのままと。殺戮数を理解し、正当化を許さず、政権も許さない知識を持てと。つらい、良い本。但し、変換文のような翻訳には我慢。
読了日:12月31日 著者:ティモシースナイダー
日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」感想
海外で交流を深めて誠実に賢明に仕事をしている日本人が、戦争、内戦、動乱、人質拘束に際し、機敏に、思慮深く協力し合い、トルコや現地の人々に助けられて生き延びた姿は胸に迫る。他国に救援してもらうしかない母国の情けなさを味わわされた人々だ。安全保証がないから救援機をださぬ日本。日本人の安全保証がないから救援機をだすトルコ。自国民が陸路脱出する中で救援機で日本人を救ったトルコ政府。その政府を責めぬトルコ国民。気高い国だ。日本の外務省も日本人も起こってほしくないことは起こらないことになっている体質だそうだ。
読了日:12月29日 著者:門田隆将
ブラッドランド 上: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (単行本)ブラッドランド 上: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (単行本)感想
スターリンが工業化推進、集団農場推進のため1932年ウクライナの食糧を国有として収奪して輸出してウクライナ人3百万人餓死させたと。その時、人肉が肉屋で売られている資料を佐藤優はみたことがあると読んだ。富農の抹殺のため収容所に1800万人入れ、数百万人を死亡させたと。この頃スターリンの妻は自殺。更に集団農場失敗を外国、政敵の陰謀とし、敵性民族、富農として62万人処刑。ヒトラーは占領したソ連領のユダヤ人を100万人銃殺、ソ連軍捕虜銃殺50万人、餓死・衰弱死260万人と。凄惨すぎる。
読了日:12月27日 著者:ティモシースナイダー
グアンタナモ収容所 地獄からの手記グアンタナモ収容所 地獄からの手記感想
21世紀に入っても差別的独善的野蛮行為が国家組織の行為として行われ、隠蔽され、虐げられている人々がいるとの告発だ。正義の復讐論に隠れて横暴な差別的蛮行を黙認する図式で、ニック・タースの「動くものはすべて殺せ」のベトナムでの米軍の体質と酷似。この地は1903年キューバからの永久租借地だが、カストロは租借料を1回のみ受け取り、以後認めず拒否と以前読んだ。ブッシュが設けてオバマは止めると言ったが止めない施設での話だ。解せない。
読了日:12月23日 著者:モハメドゥ・ウルドスラヒ
国道者国道者感想
2014年刊、ふしぎな国道もおもしろかったが、こちらも歴史、政治、行政に触れながら軽妙でおつな読み物。ふしぎな国道はマニアへの理解がはかられている感じだったが、今回は、国道の歴史的な営みの面白みを伝える感じで十分楽しめた。新潮45への長期連載の編集出版だが、最後まで人の営みを覗いたようで楽しめた。
読了日:12月21日 著者:佐藤健太郎
現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結―――リーダーになる人の仕事の進め方現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結―――リーダーになる人の仕事の進め方感想
日本の産業競争力の低下の要因に、意志決定の遅さがあるそうだ。スタッフの仕事の工程とは意思決定であって、意志決定する工程の品質、効率が「心がけ」で終わっていて、科学的な抜本的な意思決定の手順になっていないのが問題だそうだ。現場は非情に厳しい状況で戦ってきたが、ホワイトカラーは戦ったのか。生産現場の頑張りでスタッフ部門のたくさんの人が助けられてきたが、もう、まったなしの時代。迅速な正しい意思決定を効率的にできないと危ないぞと。トヨタは2007年から自工程完結の取り組みをホワイトカラーで始めたと。さすがだ。
読了日:12月15日 著者:佐々木眞一
月夜の記憶 (講談社文芸文庫)月夜の記憶 (講談社文芸文庫)感想
二つの精神的季節、私の中の戦中・戦後、靖国神社の三篇を読み、吉村昭の戦争に対しての考え、日本人の戦争に対する態度についての吉村昭の考えがよくわかった。手のひらを返したマスコミ、知的文化人は怯懦と。自身をふくめた人間へのぬぐいがたい不信感が胸に焼き付いていると。靖国神社は遺族が語り合い、慰めあう場と。政治に利用されては純粋さを失うと。
読了日:12月13日 著者:吉村昭
遠い日の戦争 (新潮文庫)遠い日の戦争 (新潮文庫)感想
非戦闘員に対するアメリカ軍の殺戮行為を理由に撃墜した爆撃機搭乗員を処刑した日本軍将兵の敗戦後の決意、逃亡生活、変節する日本人への憤り、諦観、時代への同化、命拾いへの執念、戦犯に対して批難から憐憫へ時をようせず変節する日本人への嫌悪、個人の命乞いを図り責任転嫁する高級将校達への憎悪など、アメリカによる私刑にさせされた日本人の心情が克明に描かれていた。戦争を理解するのに必要な真実の記録のひとつだ。
読了日:12月13日 著者:吉村昭
収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)感想
すばらしい本。人間の尊さ、穏やかで強い意志、同胞への親愛、希望を人に与える道義感、貫く人道主義、信義に応える人々。過酷な状況で凄みに溢れる生き方を静かに穏やかに明るく貫いた日本人に涙する。過酷使役、寒さ、飢え、密告、抑圧の中で、人を和ませる文化、創作がいかにかぐわしいものであったことか。悲惨な悲しい物語であるのに、未来が開かれるような清々しい人物伝だ。読めてよかった。
読了日:12月10日 著者:辺見じゅん
ベトナムの桜ベトナムの桜感想
山田長政が活躍した頃の時代を舞台にした兄弟、師弟、島民の誠実な物語で悲劇にも心和む味わいのある小説だった。毒殺されてしまうベトナムの日本人町の人徳あふれる顔役の名は仁左衛門。史実ではタイで戦功でとりたてられて活躍し、最後に毒殺された山田長政も通称仁左衛門。海洋民族として外洋で活躍する日本人であっても桜をめでる優しい民族と願っているような話だった。
読了日:12月8日 著者:平岩弓枝
日本とドイツ 歴史の罪と罰: 20世紀の戦争をどう克服すべきか (徳間文庫カレッジ)日本とドイツ 歴史の罪と罰: 20世紀の戦争をどう克服すべきか (徳間文庫カレッジ)感想
ドイツの良し悪しのある素顔を覗けた気になる本。ドイツの教育が荒れてるとは。10歳で進路選別の格差社会であるとは。ドイツがナチス犠牲者の人道的補償はしたが、戦時賠償はしていない国とは。親中親ロの反日論調の国だとは。記述内容が2009年なので、ますます今はどうなってるのか気になる本。でもやっぱり日本人は、明治からのドイツ盲信は醒めていないかも。明治海軍は脚気を英国臨床医学で回避したのに、陸軍軍医の森鴎外はドイツ医学に固執して脚気で大勢の死者をだした。輸入車数はドイツが一番だが、VWは性能詐欺を世界で犯してた。
読了日:12月6日 著者:川口マーン惠美
動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたか動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたか感想
ベトナム戦争でアメリカが犯した戦争犯罪が断罪されている。傍証資料は国立公文書館にあった軍自身による戦争犯罪捜査資料の供述書の数々だそうだ。おぞましい猟奇的凄惨な所業の数々が検証されており、アメリカの将校・指揮官が率先して部下に実行させていたことに驚愕する。殺害人数で戦功が評価され、非戦闘員婦女子老人赤ん坊までを大量虐殺し、敵勢力と偽装して点数を稼ぎ、叙勲、出世競争を繰り広げたそうだ。個人の逸脱行為ではなく、米軍の戦争犯罪だと。利己的で強欲な体質は米軍も同じようだ。やるせない。
読了日:12月4日 著者:ニック・タース
トヨタ式A3プロセスで仕事改革―A3用紙1枚で人を育て、組織を動かすトヨタ式A3プロセスで仕事改革―A3用紙1枚で人を育て、組織を動かす感想
事実の収集・理解、真因の分析、共通理解の醸成、対策の共同検討、対策実行の合意形成、実行計画の関係者調整、実行状況確認と問題修正、完成度の評価、改善サイクルの継続、こうしたことを、各層で、各員がオーナーシップ・主体的発意を発揮して学び続けてることを説く。これが人間性のある仕事と。トヨタ道場の心構えがなんたるかをアメリカ人に説かれた。得心できる内容。トヨタは強いはずだ。この思考法・進め方が、レポートサイズからエイスリーと米産業界で呼ばれているそうだ。
読了日:11月30日 著者:ジョンシュック
世界史を変えた薬 (講談社現代新書)世界史を変えた薬 (講談社現代新書)感想
薬の開発、発見の歴史的逸話が色々あり、分野違いの者にはとても面白い読み物だ。著者の評価の視点は健やかで前向きで気持ちがよかった。手術の歴史が古代に発見されているなど驚きだ。また、ノーベル賞級の第一人者でも泥々の功名心が渦巻いた逸話など欧米の貪欲な価値風土を見るようだ。利益独占の製薬会社に怒りの対抗を新薬で果たした日本人学者の話には気持ちが救われる。著者のような科学の語り部は敷居高のある者には有りがたい。お陰で心震える科学が覗けた。
読了日:11月28日 著者:佐藤健太郎
空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)感想
ノンフィクションかのようで、事実に近い内容だ。被害者の慰謝料は5百万と少額だったようだ。犯罪を犯した会社のその後は小説とは少し違った現実だ。この話とは、全く逆の会社もあった。欠陥車だと証人喚問まで米国政治家にされて苛め抜かれても、NASAの検証にもゆるがずに品質を証明し、自社製品を磨き続ける日本の自動車会社は実存している。一方で、欠陥部品を世界に供給してしまったパーツメーカーもある。製造業は作り手の品格・能力が端的にでる仕事のようだ。
読了日:11月27日 著者:池井戸潤
空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)感想
モチーフになった十年以上前に発覚して糾弾された企業犯罪をWIKIで確認してみた。経営者達や実行した品質管理者達は猶予付の実刑判決が確定していた。彼らはこの本のような人間達であったのだろうか。でなければあんな悪事や惨劇は起きなかろうが・・・ドイツ車による世界中での詐欺犯罪、日本の名門企業での粉飾決算などまだ起きている。欲に支配されて繰り返されてしまうのだろうか。
読了日:11月26日 著者:池井戸潤
福井モデル 未来は地方から始まる福井モデル 未来は地方から始まる感想
「北陸資本主義」清丸惠三郎では、励む気質が北陸三県の幸せの源泉で家族、地域、仕事、技術の好循環が紹介されていた。本書では循環がなぜできたのかがよくわかった。富山市の底つき体験、公平論克服、再生の論理と実践に頭がさがった。鯖江の寛容、進取、協働精神には感服次第。福井の人を育てる民度の高さ、勤勉さが、環境の激変にも地域を生き返らせ続けているのがよくわかった。確かに未来の始まる予感がしてきて嬉しくなれた。考える力の教育が肝要と。
読了日:11月25日 著者:藤吉雅春
空白の戦記 (新潮文庫 よ 5-9)空白の戦記 (新潮文庫 よ 5-9)感想
「太陽をみたい」は、沖縄の伊江島での守備隊と一緒に戦った島民、女子斬込隊の惨劇。日本の将兵は爆雷を背に戦車に身を投じたと。島民も集団自決を望み、どうせ死ぬなら太陽をみたいと壕を出る女子達。生き残った者の戦後の飢餓生活。「敵前逃亡」は、捕まり、逃亡し、前線復帰をはかるも、日本軍士官は、死なずに捕虜になったと断じ敵前逃亡として斬首処刑する。戦時の壊滅した精神の支配がむごい。「最後の特攻機」は司令長官による8月15日午後の特攻の記録。
読了日:11月23日 著者:吉村昭
脱出 (新潮文庫)脱出 (新潮文庫)感想
「他人の城」は、沖縄から鹿児島への疎開命令に服した人々を乗せた三隻と護衛駆逐艦三隻の船団中、雷撃沈没した対馬丸で生存した旧制中学三年の少年が、生存への死闘と疎開先での差別から、日本の県であるとの錯覚、本土と沖縄の無縁を知る。帰還すると荒れ果てた故郷で米軍支配下で生きる冷めた覚悟をする。日本が忘れてはならない歴史。「脱出」は樺太から北海道に脱出する現実が生活と生死の冷え冷えとした現実として日本の歴史を突きつける。「珊瑚礁」はサイパンでの戦火に炙られた住民の惨劇だ。
読了日:11月22日 著者:吉村昭
殉国―陸軍二等兵比嘉真一 (文春文庫)殉国―陸軍二等兵比嘉真一 (文春文庫)感想
沖縄戦に動員された15歳の旧制中学3年生が生き残った戦場の記録文学で、凄惨、無残、残忍な体験が綴られていた。兵も老人も婦女子も地上に動くものを一人残らず殺戮しようかとするかのようなアメリカ軍による爆殺・銃撃殺・火焔焼殺。自決か玉砕かと思い詰める住民。繰り広げられた自決、投身、子の封殺、狂乱、膿、腐臭、遺体散乱、薬殺・・・日本本土進攻時期を延期させるために長期間にわたって抵抗せんとしたとは。言葉を失う。確か「珊瑚礁」でもサイパンの民間人の惨劇が記されていた。
読了日:11月21日 著者:吉村昭
生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書)生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書)感想
高学歴ではない兵士にみる民衆史、敗戦史、復興史で日本人の実像史だ。学歴による階級社会であった戦前の日本の現実もよくわかる。日本国民の大多数の現実を正しく見られた気がする。戦後も軍人恩給で優遇される旧支配階級。かたや「国民のひとしく受忍しなければならなかった戦争被害」と整理して補償を切り捨てる国と司法。戦後のやるせない未始末史を突きつけられた。
読了日:11月18日 著者:小熊英二
雪の墓標―タコ部屋に潜入した脱走兵の告白 (1979年)雪の墓標―タコ部屋に潜入した脱走兵の告白 (1979年)感想
吉村昭が1971年に発表した逃亡の主人公の1年9か月間に亘る逃亡中、タコ部屋潜伏先での行いを戦後に贖罪する心震えるノンフィクションだ。1978年、遺族を捜し出し、北海道の民衆史研究者や市民、僧侶とともに遺骨発掘、供養を成し遂げる。悲しみと救われる思いが半ばする真実だ。1980年、1986年に吉村昭は同主人公の贖罪の姿を描いたが、本書は戦前日本の底辺の史実を明らかにしており、そのあまりに凄惨で狡猾な現実には言葉を失う。
読了日:11月17日 著者:小池喜孝,賀沢昇
アイルトン・セナ 確信犯アイルトン・セナ 確信犯感想
21年前、事故現場から空撮中継し、ヘルメットが力なく揺れたのを見たような気がする。ヒーローの事故死は衝撃だった。89年のシケインに入らず同チーム二台が張り合って直進して停止したシーンにはチームメイトでも譲らぬ競争心に息をのんだ。90年のスタート直後の第一コーナーでの衝突リタイアに拍子抜けした記憶もあったが、実は、本書の著者に予告していた冷酷な復讐であったとは驚いた。情報操作のない率直な時代との著者評にも得心。
読了日:11月14日 著者:LeoTurrini
黒澤 明 樹海の迷宮: 映画「デルス・ウザーラ」全記録1971-1975黒澤 明 樹海の迷宮: 映画「デルス・ウザーラ」全記録1971-1975感想
40年前のソビエト共産党時代の黒澤明の映画撮影の日誌と元の脚本とその変更点をまとめた大作。脚本の決定稿は特に感動的な物語。映画は91シーンからなっていたそうだが、もとの脚本は101シーンあり、フィルム不良やソ連からの短縮化要請で削除されたシーンや、変更されたシーンももとを読めて、尚更、素晴らしい話だった。今回が初出と。撮影日誌では、物語と別次元の過激な仕事振りと生活振りに驚いた。芸術家の素顔をみるようで実に面白かった。
読了日:11月13日 著者:野上照代,ヴラジーミルヴァシーリエフ,笹井隆男
アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ 「日米近現代史」から戦争と革命の20世紀を総括するアメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ 「日米近現代史」から戦争と革命の20世紀を総括する感想
アメリカは、1924年の絶対的排日移民法などで人種差別し、オレンジプランなる対日戦争計画も仕上げ、日本を追い詰める態勢に入ったそうだ。国際金融勢力が大統領を操り、国際主義なる社会主義で、中国の共産化を図るため、邪魔な日本の影響を削ぐため、アメリカは日本に戦争をしかけたそうだ。日本は、経済制裁で追い詰められ自衛の戦争に至ったと。現代のグローバリズムも同じことで国際金融勢力の世界支配の一環と。そういうこともあるかもと思うも正直スッキリせぬ読後。
読了日:11月6日 著者:馬渕睦夫
昭和史の10大事件昭和史の10大事件感想
向島、深川育ちで墨田川高校出身の親子ほどの歳の差のお二人で面白い対談。昭和の感じ方が、戦争体験差によって異なることがよくわかる。昭和64年、昭和というものが人間的にも終わっちゃった。価値観というものの変換点と言う。よくわかる。ただ、終戦でも転換していたと吉村昭は背中の勲章で記していた。青森行きのみじめな列車で、日本人と異なる人種に見える、険しい目、落ち着きなし、老人に席を譲ろうともせず、窓から子に排尿させる女、荒む心と。
読了日:11月5日 著者:半藤一利,宮部みゆき
アメリカの戦争責任 (PHP新書)アメリカの戦争責任 (PHP新書)感想
有馬哲夫の歴史とプロパガンダでは、ルーズベルトに相応の開戦の責任がある事が明らかになっていた。本書では、引き継いだトルーマンは、ルーズベルトがチャーチルと交わした原爆開発成功時に日本に投下する密約を見直さず、周りに勧められた終戦案をとらず、原爆投下を優先し、一般人民殺害した戦犯と。戦後、犯罪性を逃れるため原爆が終戦を早め多くの命を救ったとのフィクションをプロパガンダしたと。メディアでは聞けない論証だ。
読了日:11月3日 著者:竹田恒泰
杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)感想
手嶋龍一曰く「情報士官」の名に値する人物であったそうだ。1920年代、1930年代、1941年12月までの激動に外交官として満州、フィンランド、リトアニア、プラハ、ルーマニアと転じて果たした業績には驚いた。一線の知性と情報をいかせぬ日本の中枢部の愚かしさにまたも嘆息させられた。厳しい外交・諜報努力と業績を知るほど、同時に成し遂げられた人道的事績がより崇高に感じられた。
読了日:11月1日 著者:白石仁章


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